2015.01.05

「12話と13話の連結とジュリアをめぐるスパイク・ビシャスの過去についての考察」

カウボーイビバップ 第13話ジュピター・ジャズ(後編)

絵コンテ:岡村天斎 / 演出:佐藤育郎 / 脚本:信本敬子

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リンに撃たれたスパイク。その頃フェイと一緒にいたグレンは、タイタンでの過去を語り、取引のためビシャスの元へ向かう。そしてスパイクも意識を取り戻し、ビシャスの所に向かおうとしていた。

第13話の主要スタッフ。絵コンテ・岡村天斎。演出は佐藤育郎。脚本は信本敬子。作画監督・小森高博。メカ作画監督・後藤雅巳。

以下は核心部分を含みます

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グレン「もう一度、戻りたいんだ。あそこへ」という台詞があります。

若い時には何も感じなかった台詞なのですが、歳を取り先が見えた日常を送っていると、この台詞がより深い意味で心に刺さってきます。この先大した何かが残っている訳でもないので、あの頃に戻って死にたい、というこのグレンの気持ちには色々と考えさせられてしまいます。

あまり長く書くと気持ちが落ち込んでくるので、雑談はこれぐらいにしておきます。

< 第13話に関して >

引き続き主人公はスパイクです。とりあえず先に13話(後半)を書き出してみます。

主人公

「スパイク・スピーゲル」

ストーリー

「スパイクはジュリアを探すが、見つける事が出来ない」

分岐点と概略

第一幕概略 「昔の夢を見るスパイク」
第二幕への転換点(8m00s) 「スパイクが目覚める」
第二幕前半概略 「ビシャスを探す」
中間点(11m00s) 「ジェットからグレンの情報を聞く」
第二幕後半概略 「スパイクが取引場所に向かう」
第三幕への転換点(15m00s) 「グレンを見つける」
第三幕概略 「ジュリアを見つける事が出来ない」

書き出してみると、12話・13話の分岐点と概略に関しては、転換点が若干前後にずれているような気がしました。しかし、前後編を通して44分の作品ととらえた場合、区切り良く10分刻みで展開が進んでいるようにも思えます。下記で12話・13話を通して考えてみます。

12話・13話を連結

12話の段階では全体の構成がまだ見えず、また13話では流れが変わりビシャスとの対決がメインになるため、12話・13話単独のストーリーと連結したストーリーでは、異なった形になるとも考えました。しかし「ジュリアを探しに行き、見つける事が出来ない」という軸は変わらないため、大きな変更はないと思います。

第一幕概略 「ジュリアというコードネームを聞く」
第二幕への転換点(ep12/8m30s) 「ジェットを無視しタルシスに向かう」
第二幕前半概略 「タルシスでジュリアを探す」
中間点(ep12/end) 「スパイクが撃たれる」
第二幕後半概略 「ビシャスを探す」
第三幕への転換点(ep13/11m00s) 「ジェットからグレンの情報を聞く」
第三幕概略 「ジュリアを見つける事ができない」

また、この13話が全体の折り返しとなるため、各登場人物の劇的欲求がどういう方向に向かうのか、大枠で固まってきます。簡潔にまとめます。

<スパイクの劇的欲求>
ジュリアを見つけるという事であり、その劇的欲求は自分が生きていると思えた「過去」を向いていると思えます。

<ジェットの劇的欲求>
ビバップ号で賞金を稼いでいく。ビバップ号の船長(的立場)として、安定した「今」を暮らしていく、という方向性ではないでしょうか。

<フェイの劇的欲求>
自分自身の居場所を見つけるという、「未来」に対して方向性があると思われます。フェイに関しては、過去を知るという目的があるため、その劇的欲求の方向性は「過去」とも解釈出来るのですが、決して過去に戻りたい訳ではなく、過去を知り自分の居場所を見つける、という未来志向の劇的欲求だと思われます。

この方向性の違いが、その後の展開を通して物語を結末に導く形になっています。そう考えると、この13話は全体の方向性が明らかになる話であり、終わりの始まりなのではないでしょうか。(余談ですが、今後これが擬似家族論を否定する軸になるかもしれません)

第13話を分解

カウボーイビバップ 第13話 パラダイム

1.ダイジェスト
若干のカットの差し替えがあります。12話では「フェイの驚いた顔 → スパイクとリンのやりとり → グレンの姿 → スパイク撃たれる」となっていますが、13話では「スパイク撃たれる → フェイの驚いた顔」となっています。もちろんダイジェストですので、話の流れに変わりはなく、特段の追加情報はありません。盛り上げるための順番変更だと思います。

2.グレン「なんて曲?」
タイタンの回想シーン。上記の質問にビシャスは「ジュリア」と答えます。ここで若干の疑問。このタイタンの戦争は、いつの出来事なのか?

ビシャスが「ジュリア」という曲をオルゴールで聞いていた事、またグレンに出会った時から、グレンを利用する気持ちだった事(後半で「信じる物などない」とグレンの問いを切り捨てています)から考えると、スパイクにジュリアを取られ、ジュリア自身もいなくなた後の可能性が高いです。しかし本編中には、これ以上の情報はありません。もう少し範囲を狭めるために補足します。

シリーズ本編と劇場版は別と考え、あまり参照したくはないのですが、劇場版から引っ張ってきます。劇場版でタイタンの戦いは「The Titan War II in 2068」とあり、タイタンでの戦争が二度あった事が分かります。そしてビンセントは三年前にその二回目の戦争で死んでいる、という設定になっています。スパイクがジェットと出会い賞金稼ぎを始めたのも三年前とあるため、ビシャスはジュリアとスパイクが去ってから、この戦いに参加したのではないかと推測されます。

それでは、レッドドラゴンに身を置いていたビシャスが、なぜこのタイタンの戦争に参加したのか?状況的に徴兵などで戦地におもむいた訳ではなく、傭兵という形のはずです。そして後述しますが、ビシャスはスパイとして働いていたのは間違いないと思われます。そう考えた時、レッドドラゴンの利益のため(もしくはレッドドラゴン内の自身の利益のため)に参加したのではないでしょうか。しかし、タイタンの戦いが何であるのかが分からないため、その具体的な内容や、上記の案も憶測の域を出る事はありません。(ビンセントが火星陸軍特殊作戦部隊だった事を考えると、火星政府が参加した戦争である事は間違いと思うのですが、政府間同士の戦いなのか、それとも反政府組織との戦争なのか、もしくは企業との経済戦争が武力衝突化したものなのか……これに関しては14話考察の最後で若干補足しました)

あわせてもう一点補足。ビシャスが傷心旅行的な意味で参加した、とも取れなくはないのですが、スパイクやジュリアを失っても、ビシャスには残った物があります。それはレッドドラゴンです。そのビシャスが、唯一残った物を捨ててまで、何かに参加するという事は考えにくいと思います。むしろ、レッドドラゴンでの出世をより強く望むようになるのではないでしょうか。そういった意味でも上記の案にしました。

3.グレン「ビシャスを知っている人間に遭ったのは、君が二人目さ」
もう一人はもちろんジュリアです。そしてこの後、フェイがグレンに取った行動。なぜグレンを止めようとしたのか?フェイは26話でスパイクに対しても同じような行動を取ります。26話でフェイはその理由(ここでの言及は避けます)を間接的に語っています。それではここも同じ理由だったのでしょうか?しかしまだこの時、フェイの記憶は戻っておりません。それでは何なのか?

ヒントはこの戻らない記憶。フェイにとって、親しく話をした人物というのは限られてきます。その自分を知る人物が死ぬという事は、自分の存在を証明する物がなくなるという事であり、そのためフェイはグレンを止めようとしたのではないでしょうか。

★.スパイクの夢
第5話に続き、スパイクの過去が再び登場します。この部分の考察は後述します。そしてこの時、スパイクが過去の夢から覚めるのは「今をみている」右目の寄りカットになります。

4.スパイク「西はどっちだ?」
スパイクが目を覚ました時、カラスに尋ねます。なぜ西なのか?なぜカラスなのか?

「西」とは何か
一番シンプルに、そして流れに沿って考えれば、レッドアイの取引が行われる方角と考えられます。しかし、このシーン前(そしてその後にも)方角に関する情報は全く登場しません。そこで考えられるのは、何かの暗喩ではないかという事です。二案出します。

まず冒頭の考え通り、深い意味はない案。そのまま取引場所の方角という事です。そして次案。西は太陽が沈む方向であり「死」を暗示しています。これは東洋西洋問わずです。つまりビシャスとの決着に向かうという事が、西に向かうという事であり、死に近づくという事の暗示なのではないのでしょうか。

最後に余談。仏教では西方浄土という、極楽浄土の方角を表す言葉があります。日が沈む西は死であり、その先に浄土があると考えるからです。この西方浄土をラストと関連付けてもいいのですが、さすがにこじつけにも限度があると思いやめました。

「カラス」とは何か
これに関しては判断の迷う所ではありますが、スパイク「まだ死んじゃいねーよ」とありますので、ある程度意味は持たせていると思われます。死肉をあさるカラスは「死」の象徴であり、そのカラスに方向を訪ね、そこに向かうという事は、上記の「西」と同じように、スパイクが死に近づくという事を暗示しているのではないでしょうか。

ちなみに前回と同じように、ケルト神話でのカラスの位置づけを引用しておきます。

神話では、モリグー・ヴァハ・バズヴ、この三女神がカラスの姿になって戦場を飛び回ったというお話があります。そのためカラスは戦いの女神であり破壊と死の象徴です。ただこれに関しては、ヴァハが「カラス」という意味であったり、バズヴが「カラス」の意味であったりと、本によってかなりまちまちです。そして三女神が同時にカラスの姿で戦場を飛び回ったという内容はあまりなく、モリグー・ヴァハ・バズヴが単独で取り上げられ、そのどれかがカラスになった、というような話が多く見られます。

ここからカラスを単に「死」の象徴ではなく、「戦いと死」の象徴と考える方がより深みがあり面白いかと思います。考え過ぎかもしれませんが、このタルシスという星の設定上、ありえる解釈かもしれません。

5.ジェット「〜探しに来いっていうメッセージだったのか」
なぜジェットはフェイを探しに来たのか?擬似家族論から考えれば、ジェットは父親的な立場で、フェイの事を心配して探しに来た、と取れるかと思います。しかし個人的にビバップ=擬似家族という考えは、どうも納得がいっていないので別案。

ジェットはいわばビバップ号の船長です。その場合、フェイはそのクルーという位置づけになります。もし、フェイが直接出て行くと口頭で伝えていたならば、ジェットは助けに行くことはなかったと思います。しかし本気で出て行ったのかが分からない状況では、船長としての義務と責任からフェイを探しに行くしかなかったのではないでしょうか。ジェットの性格から考えても、この解釈は納得がいくかと思います。(ただその場合でも父親的立場と解釈出来ますが、それを言い出すと全てが擬似家族になってしまいます……)

そしてこの時のフェイ。本当に試したのかどうか?二案。

まず、本当に探しに来るか試した案。12話で考察したように、記憶が戻った時にビバップ号のメンバーと離れるのが怖くなったため離れた、というのも事実だと思います。しかし記憶が戻らず、自分の居場所など見つからないかもしれない。そうなった時にビバップ号に戻れるのだろうか、誰かが迎えに来てくれるのだろうか、とある意味保険のような形で試したという案です。あくまでも保険という形です。フェイがビバップ号メンバーとの絆を確認したかったと考えてしまった場合は、フェイがすでに自分の過去を知る事をあきらめ、本当の自分がいるべき場所を失っている状態でないと、成立しないかと思います。

別案。ビバップ号のメンバーと離れるのが怖くなったから離れたというのは同じです。そこから考え、ビバップ号のメンバーにある程度の仲間意識を感じ始めていたため、ソードフィッシュやハンマーヘッドを壊すほどの行動を起こさなかった、という案です。

どちらの場合でも、ジェットに回収されたフェイの感情は、過去の記憶の手がかりもなく、結局はビバップ号に戻るしかないのかと、心折られる結果になるかと思います。そして、この時にフェイは「ジュリアって何なの?」と、ジュリアの事を気にします。この部分に関しては分解9で考察します。

6.ビシャス「なんの真似だ」
グレンが爆弾の入ったアタッシュケースをビシャスに返します。この時、グレンはどういった気持ちだったのか?スパイに仕立てあげられた事、通信機があった事などから、グレンはもうビシャスを信じてはいなかったのだと思います。そしてあの頃に戻る事は出来ないと気づいていた。そう悟った時、その人物が取るべき道は三つ(物語的に)。未来を向いて生きるか、残りの人生を消化するためだけに生きるか、そして死ぬかです。そこから考えると、思い出(の中のビシャス)と離れるのが怖くなったグレンは、ビシャスを殺して自分も死ぬという選択をしたのではないでしょうか。思い出と共に死ぬと言えばキレイに聞こえますが、これがいわゆる無理心中というやつです。

そして12話で壁にあった写真。写真を破る(もしくは捨てる)という行為は過去を捨て、未来へ向かうという行為へつながると思います。しかしその写真をつなぎあわせて、また壁に飾っていたという事は、グレンは未来を捨て、ただ思い出の中だけに生きる存在になってしまった、という事ではないでしょうか。もちろんこれに関しては、グレンの内的葛藤という面もありますが、実際にもう長くは生きれない体であるという事も影響していると思います。

また混同してしまいそうだったので、通信機についても補足。タイタンの戦争でビシャスはスパイ活動を行なっていた。その際に使っていた通信機をオルゴールの中に入れ、グレンに渡し証拠隠滅を行なったという事だと思います。グレンが取り調べられた際には、その通信機は発見されず、釈放後ジュリアがオルゴールの中から見つけた、という流れではないでしょうか。

7.ビシャス「信じるものなどない。信じる必要も」
ビシャスはなぜアタッシュケースに爆弾を仕掛けたのか?深読みをすればグレンに裏切られる事を恐れたために、先にグレンを始末しようとしたとも考えられます。グレンがアタッシュケースを返してきた時、ビシャスは信じる物などない、という気持ちをさらに強くしたという流れにもなります。しかしどこか釈然としません。そこで別解釈。

時系列から考えると、タイタンでビシャスとグレンが出会った時、すでにビシャスは誰も信じなくなっていたのではないでしょうか。確かに誰も信じなくなった理由は、裏切られるのを恐れてという事もあると思います。しかし信じない性格が出来上がった後は、(深層心理は別として)裏切られるのを恐れるという事はないはずです。そう考えた時、グレンにとってビシャスは特別な戦友という存在でしたが、ビシャスにとってグレンは最初から駒でしかなかった、と解釈した方がいいような気がします。

<追記>
12話で少し触れましたが、ビシャスはグレンとジュリアが会っていた事を知ってします。上記の案に再びケチをつける形になってしまいますが、そのためスパイクの時と同じように、グレンが裏切ると確信したとも考えられます。根拠は、スパイクの回想の時に登場した「あの女には気をつけろ」というビシャスの台詞です。そのため、もしかするとビシャスは、ジュリアが全ての元凶だと思っていたのかもしれません。その場合ビシャスが「裏切られる」と考えていた案も捨て切れなくなってしまします。

8.スパイク「ねーよ」
ジェットとケンカをして出て行く形になったスパイク。強引な解釈をすれば、ここもビバップ号はスパイクが戻れる擬似家族的な存在という解釈も出来るかと思います。しかしこのスパイクとジェットの関係は、けして友情や、ましてや家族などではなく、今回の話でグレンが理想としていた「同士」という関係なのではないでしょうか。そう考える方がよりしっくり来るかと思います。

9.フェイ「ジュリア」
13話中盤でも、フェイはジェットに「ジュリアって何なの?」と聞きます。この台詞ヘタをすると、フェイがスパイクに恋愛感情を持っていたのか?と誤解をしてしまいそうな(さすがにそれはないか……)台詞です。この台詞は何なのか?

26話でフェイ「身の上話なんてした事ないくせに」とスパイクに言います。スパイクの過去を知らないフェイは、スパイクの事をビバップ号にしか居場所のない奴だと思っていた。フェイはもし記憶が戻らなかった場合でも、最悪自分と同じような奴がいる。そんなスパイクの存在で安心していたのだと思います。

しかし皮肉な事に、フェイはジェットが助けに来た事で、もしかしたら自分の居場所はビバップ号にしかないのかもしれないと感じたが、スパイクにはジュリアという過去があり、自分ではなくその過去を優先した事を知ります。中盤はその孤独感から出た言葉、そして後半はそれならば自分の居場所はどこなのだろう、という気持ちから出た言葉だと思います。

10.ブル「グレートスピリットを信じられなかった哀れな魂」
グレートスピリットとは大精霊、ネイティブアメリカンの神様のような存在(ただ神様というよりは「自然の理」といった「概念」の方がより近いかと思います)です。また第1話でスルーしてしまったので、ここで補足しておきます。ブル「ワカンタンカの恵あれ」という台詞があります。この「ワカンタンカ」の英訳が「グレートスピリット」となります。
 

ジュリアをめぐる過去の考察

スパイクの夢。5話よりもカットが増え、台詞も追加されているため、考察をさらに一歩進めたいと思います。

前回・第5話での考察はこちら(分解8で考察しています)です。

根本的な部分ですが、友人や知人など色々な人から、ビシャスの女をスパイクが取ったという流れが、まことしやかに語られます。あまり大きな声では言えなかったのですが、僕はスパイクがビシャスの女を取ったという流れは、なんとなく違和感があり納得がいきませんでした。

とりあえず今までの話で違和感を覚えた大きなポイント。12話の、ビシャス「抜け駆けはお前の専門だったな」という台詞。ビシャスからジュリアを奪ったとした場合、「抜け駆け」という言葉で表現するのでしょうか?

流れとしてジュリアに出会い、スパイクもビシャスも惚れた。その後、怪我をしたスパイクが先にジュリアと付き合う。しかしスパイクとジュリアが駆け落ち(便宜上駆け落ちにします)する約束をして、スパイクが教会に死にに行こうとしている時、ビシャスとジュリアが寝た、という流れが正解ではないでしょうか。

しかし今回の回想で、ジュリアに銃を突きつけ、ビシャス「俺を裏切るつもりか」と台詞があります。この台詞から推測してしまうと、やはりビシャスとジュリアが先に付き合っていて、それをスパイクが取ったという形になっていまします。この疑問に関しては後述します。

第5話の考察では、ビシャスがジュリアを脅したと考えましたが、上記の流れでもその案は成り立つかと思います。また別案としてジュリアの方からビシャスに体を許したとも考えられます。そのジュリアの気持ちを二パターン。組織を抜ける事が不可能だと思い、ビシャスに体を許した。別バターン、組織を抜けるため仕方なくビシャスに体を許した。どちらにしても、スパイクを裏切ってしまったという思いから、待ち合わせの場所に来なかった、と考えられます。(この待ち合わせに来なかった理由。正解は別の可能性もありますが、考察は先送りします)

それならば、なぜビシャスは「信じる物などない」というような人間になってしまったのか?上記の流れであっても、スパイクにジュリアを取られたためと考えられますが、それだけではかなり弱いような気がします。そこで二案。

ビシャスにとって、ジュリアよりもスパイクの方が重要だった案。組織の中で、背中を預けられる唯一の同士だと思っていたスパイクが、自分ではなくジュリアを取った。それが「信じる物などない」という考えになったのではないでしょうか。

別案、もしくは初案に追加。そして「俺を裏切るつもりか」の疑問への回答。スパイク・ビシャス・ジュリアの関係は、組織の中にあって年も近く心を許せる同士だった案。ビシャスはそう思っていたが、スパイクはジュリアと付き合い、二人で組織を抜ける事を選ぶ。そのためビシャスは「信じる物などない」となったのではないでしょうか。ビシャスがジュリアと寝たのは、そんなスパイクへの復習であり、またジュリアが逃げ出さないように縛るための行為だったとも考えられます。そしてその時、ジュリアとスパイクの関係のもろさを知ったからこそ「信じる必要も(ない)」という考えが追加されたのだと思います。

それではそれを踏まえて、スパイクの夢を再度並べ替えてみます。第5話での並びは一旦破棄します。(ep13-1という表記は13話の1カット目という意味です。そしてその後ろは13話で、そのカットの時に入る台詞です。またカッコ内のB・Yはそのカットの13話でのキーカラー、ブルーとイエロー。棒線は日付またぎです)

また目の手術をする回想はここが最後の登場となるため、順番の根拠を25話から引っ張ってきます。25話、スパイク「この左の目は事故でなくした」と言っていますので、ジュリアに手当をしてもらった時の事ではなく、さらに昔の出来事と判断しました。

ep13-5.目の手術をするスパイク(Y.スパイク/俺はただ覚めない夢を見てるだけさ)
ep13-10.目の手術をするスパイク(Y.ジュリア/女はみんな嘘つきなのよ)
ep5-4/ep13-4.ビシャスに背中をあずけて戦うスパイク(Y)
ep5-5/ep13-9.ビリヤード場でスパイク・ビシャスがジュリアに初めて会う(Y.ビシャス/あの女には気をつけろ)
ep5-11.傷ついたスパイクがジュリアの家?の前で倒れる
ep5-12/ep13-11.ジュリアに手当をしてもらったスパイク(Y)
————
25話.スパイクが墓地で待ってるとメモを渡す
ep5-7/ep13-15.ジュリアに銃を突きつけるビシャス(Y.ビシャス/俺を裏切るつもりか)
ep5-1/ep13-6.悲しそうに窓際に立つジュリア(Y)
ep5-9/ep13-8.裸でベッドにいるジュリアとビシャス(Y)
————
ep13-2.花瓶に刺さったバラ。(B)
ep5-3/ep13-16.窓から雨の降る外へスパイクのメモを破り捨てるジュリア(B.ジュリア/あなた、殺されるわ)
ep5-6/ep13-12.薔薇の花束を持ちタバコを吸うスパイク(Y.スパイク/これが終わったら俺は足を洗う。そしたら俺と一緒に)
ep13-1.水たまりにバラ。(B.ビシャス/お前を生かせるのは俺だけだ)
ep5-8/ep13-7.スパイクが教会へと向かい、銃撃戦(Y.ジュリア/まるで夢でも見てるみたい)
ep5-2/ep13-14.薔薇の花束に隠したマシンガンでの銃撃戦(Y)
ep13-3.銃で撃たれるスパイク(Y.ビシャス/お前を殺せるのもな)
ep5-10.銃でやられるスパイクがほほえむ
————
ep13-13.誰もいないジュリアの部屋(Y)
————
ep13-18.5話の教会から落ちるスパイク(色はフラット.ジュリア/左右の瞳の色が違うのね)
ep13-17.ビバップ号内(色はフラット.フェイ/やっと起きた、寝過ぎよ三日も)

以上です。書いておいていうのもなんですが、若干並びが怪しいです。そしてまだ、回想カットは出つくしてないため、結論はもう一度先延ばしにします。

また今回、前回のブルーのカットに黄色を足して(もしくは色相を変えている)ため、ほとんどのカットのキーカラーがイエローになっています。もしかすると今回はあまり意識する必要はないのかもしれませんが、ブルーのカットはジュリアがスパイクの所に行かない事を決めた後の、ジュリア視点のカットで使われているのではないでしょうか。

最後に。やはり大きな問題点として、ビシャスがどのタイミングでジュリアと寝たのか(もしくは付き合ったのか)という事が残ります。前回5話の考察と、今回13話での考察も若干食い違っています。また、ジュリアの「女はみんな嘘つきなのよ」はどういう意味なのか、ビシャスの「あの女には気をつけろ」これが上記(分解7の追記)のグレン関連の意味しかないのか、そしてビシャス「俺を裏切るつもりか」の解釈はこれでいいのかなど、まだ疑問点は残っておりが、結局結論は先延ばしという形にしたいと思います。

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参照・引用(外部リンク)

『ケルトの神話―女神と英雄と妖精と』 井村君江 著 / ちくま文庫 / 1990
『虚空の神々』 健部 伸明・怪兵隊 著 / 新紀元社 / 1990
『イギリスの妖精』 キャサリン ブリッグズ 著 / 石井美樹子・山内 玲子 翻訳 / 筑摩書房 / 1991
『ケルト妖精物語 1』 ジョーゼフ ジェイコブズ 著 / 山本史郎 翻訳 / 原書房/ 1999
『アメリカ・インディアン―奪われた大地』 フィリップ・ジャカン 著 / 森夏樹 翻訳 /創元社 / 1992
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「カウボーイビバップ」各話の考察