2014.05.07

「スペードの意味についてと回想シーンの解説。それとアニーの写真での個人的勘違い」

カウボーイビバップ 第5話堕天使たちのバラッド

絵コンテ:渡辺信一郎 / 演出:渡辺哲哉 / 脚本:横手美智子

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2800万の賞金がかけられている、レッドドラゴンの幹部マオ・イェンライ。ジェットの忠告を聞かず、マオを追うスパイク。しかしそれはスパイクを殺すために仕掛けられた罠だった。

第5話の主要スタッフ。絵コンテ・渡辺信一郎、演出・渡辺哲哉。脚本は横手美智子。作画監督・川元利浩。メカ作画監督・後藤雅巳。

以下は核心部分を含みます

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評価の高い第5話。僕は第4話からはまりましたが、周囲ではこの第5話からはまったという声が大きいような気がします。僕もこの話は好きです。好きなのですが、個人的な感想を一つ。

ビシャスに関してなのですが、どうもこういうキャラクターが好きになれない。もちろんビシャスの性格の事ではなく、見た目や台詞に関してです。長い髪の毛もそうですし、カラスを肩に乗せたり、武器が刀だったりとか、ちょっと仰々しい台詞とかもろもろ受け付けないんです。キャラクターを立たせるという意味で、こういう設定だという事は理解できるのです。そして決して悪くはないのです。むしろ良い設定だと感心するぐらいです。ただ生理的に受け付けないのです。なんというか「そんなやついないだろ……」と思ってしまうのです。

また今回書きたいことが一つ。それは初見時に大きな勘違いをして、伏線だと思ってしまった部分があります。この解釈を友人にした際には、読解力のない馬鹿呼ばわりされてしまいました。しかしきっと僕だけではなかったはず。もし共感できる方がいれば嬉しいです。

< 第5話に関して >

第5話でスパイクがレッドドラゴンのメンバーであった事が明かされます。そして初めてビシャスが登場。「ジュピター・ジャズ」「ザ・リアル・フォークブルース」へと続くスパイクの物語・第二幕への転換点となっています。ただ今回は第5話の解説がメインになりますので、本筋に関わるスパイク・ジュリア・ビシャスの解説は軽くふれるだけにしておきたいと思います。

主人公

「スパイク・スピーゲル」

ストーリー

「マオを追っていたスパイクが、ビシャスにマオが殺されたことを知り、敵討ちに行くが引き分けてしまう」

分岐点と概略

第一幕概略 「賞金首のマオを追うスパイクが」
第二幕への転換点(5m10s) 「ジェットの静止を振り切り出発する」
第二幕前半概略 「情報収集」
中間点(11m00s) 「マオの死が明らかになる」
第二幕後半概略 「渡世の仁義を貫こうとする」
第三幕への転換点(14m00s) 「教会に乗り込む」
第三幕概略 「ビシャスと対決し引き分ける」

上記の補足。中間点でマオの死が明らかになるが、各々の情報源は違っています。スパイクはアニーから、ジェットはネット(DEEP SPACE というサーチエンジンです)から、フェイは目視となっています。

第5話を分解

カウボーイビバップ 第5話 パラダイム

1.契約書に血判を押すマオ
RED DRAGON,INC. の下に毛恩来の文字。マオは漢字で書くと「毛恩来」です。多分、毛沢東と周恩来が合体した名前でしょう。そしてその隣、契約を交わした相手は、WHITE TIGER,INC. の カルロス(Carlos)です。(読めなかったのでエンドクレジットで確認)

2.フェイ「敵対組織幹部の殺人容疑で、2800万の賞金」
そのままなのですが、受け流してしまいそうな情報なので補足。敵対組織の殺害というのは、冒頭のマフィア幹部の飛行機が爆破されたシーンの事。マオが死んだことは公にされておらず、敵対組織の幹部を殺したのはマオということになっている。

★.フェイが床に落ちたトランプを拾う(クリックで移動)
スペードのエース。フェイが拾ったトランプには「SPACE」と印字されています。くだらない豆知識を一つ。そして昔イギリスではトランプに税金がかかりました。そしてこのスペードのエースに税金を納めた証明印を押しました。そのためこのスペードのエースに会社名が印字されまてます。

横道にそれましたが、スペードのエースが暗示する内容の考察は後述します。

3.マオについて調べるジェット
セキュリティーのロックを解除した際、画面表示される英文。まず原文を下記に引用します。

MAO_YENRAI
One of the Executive of the Red-Dragon.
Concerned with Disputes against the W.T. in 2065.
Recently changed his line to the moderates,
and Maked the project of cooperation with the W.T..
But….
AND ARTICLE CONCERNED.

それでは訳します。

マオ・イェンライ
レッドドラゴンの幹部の一人。
2065年の W.T. との紛争に関与。
最近、穏健派へと立ち位置を変更し、
WTとの共同プロジェクトを手掛けていた。
しかし……
関連記事(正確にはAND CONCERNED ARTICLE(s). のような気が……)

ここで出てくる W.T. とは冒頭でマオと契約を交わしたマフィアの団体名です。W.T. の幹部殺害で賞金がかかっているマオ。しかしジェットはマオが争いを止めたとの情報を目にします。この事を不自然に思い、色々と調べていく過程で、ジェットはマオが殺されていている事に気づいたのではないでしょうか。

なお、ジェットが「賞金がかかっているのは、さすがにガセじゃなさそうだな」とこの画面を見た後つぶやきますが、これは画面の情報を見たからではなく、プロテクトがかかっていたからだと思います。

4.オペラハウスに流れるアヴェマリア
映画などによく使われる「アヴェマリア」ですが、このアヴェマリアを聞くまで色々なバージョンがあることを知りませんでした。しかし、どうしても「アヴェマリア=ギャング映画」というイメージが抜けきれないです。

A・B・Cの連携で個人的な勘違い(クリックで移動)
とりあえず正解と思われる解釈を書き出します。間違った思い込みは後述いたします。

A.マオと写るアニーの写真
中央にマオ、左側にアニー、そして右側に写る謎の男性。順当に考えればこの男性はアニーの夫です。そしてこれが正解だと思います。
B.アニー「随分人に探させていたんだよ。きっと生きてるはずだって」
マオはスパイクに戻って欲しかったため、探していたという単純な話です。
C.ジェット「まさかお前、マオの」
「敵討ちに行くつもりか」とつながります。

5.スパイク「渡世の仁義ってやつさ」
これに関してはあまり良い台詞だとは思わなかったのですが、渡世とは直訳で世渡りの事です。しかし一般的には渡世人、つまり「ヤクザ」という意味です。高倉健の映画に「なんの恨みもありませんが、渡世の義理でお命頂戴します」みたいな決め台詞があったような気がします。「からじしぼ〜た〜んー」って作品だったと思います。(違う作品だったらごめんなさい)

6.スパイク「おれはただ醒めない夢を見てるだけさ」
あまりここで詳しく解説すると、最終話前に考察が終わってしまうのでちょっとだけ。ジュリアと自由気ままに生きる事を望んだスパイク。しかしそうはなりませんでした。自由気ままな日常、しかしジュリアはいない。これが繰り返し出てくる、醒めない夢をみているような感覚だったはずです。スパイクはジュリアと一緒にいる時だけにしか、生きていると感じる事が出来なかったのだと思います。(ちょとだけ解説を出すと、ジュリア=本当に生きている女=俺がなくした俺の片割れ=俺が欲しかったかけら、から考えてます)

7.切りすぎた盆栽の枝を見つめるジェット
ジェットは「知らん!」と通信機を切るが、結局はスパイクを迎えに行く。この時の上記のカット。切りすぎた枝を元に戻す事が出来ないように、もしスパイクが殺されてしまったら、と考えて救出に向かったのではないでしょうか。

8.ステンドグラスを突き破り落下するスパイク
第1話冒頭につながるスパイクの回想シーン。当然の事ながら、過去を見ている左目のアップから入ります。このシーン、回想に回想がミックスされ、ジュリアに惚れるまでの良い思い出を明るいトーン、駆け落ちに失敗した記憶を暗いトーンと、演出で上手に分けられています。(追記の補足あり)

  • 第1話で登場した駆け落ちするために死にに行く時の回想(キーカラーがブルーのカット)
  • 今回追加されたジュリアに惚れるまでの回想(キーカラーがイエローのカット)

第5話の時点で考察をするのは早いかもしれませんが、時系列順に並べます。先頭の番号はカットの登場順です。

1.悲しそうに窓際に立つジュリア(イエロー)
4.ビシャスに背中をあずけて戦うスパイク(イエロー)
5.ビリヤード場でスパイク・ビシャスがジュリアに初めて会う(イエロー)
7.ジュリアに銃を突きつけるビシャス(イエロー)
9.裸でベッドにいるジュリアとビシャス(イエロー)
11.傷ついたスパイクがジュリアの家?の前で倒れる(イエロー)
12.ジュリアに手当をしてもらったスパイク(イエロー)
————
25話.スパイクが墓地で待ってるとメモを渡す(ブルー)
25話.ビシャスに脅されるジュリア(ブルー)
3.窓から雨の降る外へスパイクのメモを破り捨てるジュリア(ブルー)
6.薔薇の花束を持ちタバコを吸うスパイク(ブルー)
8.スパイクが教会へと向かい、銃撃戦(ブルー)
2.薔薇の花束に隠したマシンガンでの銃撃戦(ブルー)
10.銃でやられるスパイクがほほえむ(ブルー)

初見時では(10)の後に(11)が来ているように感じましたが、時系列は上記の通りだと思います。理由はキーカラーの演出。そう考えるとスパイクはジュリアに手当をしてもらった時に惚れた、という解釈で間違いないかと思います。

そしてもう一つ重要な考察。スパイクがビシャスの女を奪ったという流れで考えた場合、ビシャスとジュリアが付き合う事になった理由。25話でジュリアに銃を突きつけ「逃げるのか」とビシャスがいうシーンと、(7)は別シーンと考えました。根拠は第5話で追加されたのは、スパイクがジュリアに惚れるまでの回想だけのはずだからです。ここだけ駆け落ちのシーンからカットを引っ張ってくるなどということは、演出上・そして構成上考えにくいです。

時系列順に追えば、(5)ビリヤード場でジュリアとビシャスが出会う、(7)銃を突きつけ俺の女になれと脅す、(9)ビシャスに体を許してしまうジュリア、です。そのため、ベッドにいる二人は幸せそうなカップルという感じではなく、手込めにされたような(上手い言葉が見つからない……)カットになっているのだと思います。

<追記>
第5話に重点を置いた場合の考察は上記の通りです。しかしその上であえてスルーした事があります。上記(7)と25話のシーンで使用されているカットは色違いの全く同じ物です。そしてこれを同じシーンと考えてしまうと上記の流れとは全く違う物になるかと思います。キーカラーは単純に、スパイクが死にに行く雨の日と、それ以外の日に分けたと考えるのが妥当だと思います。その場合、もちろん(7)だけではなく、(11)と(12)の位置もそこで正しいのかという疑念も湧いてきます。これに関しては全体に関わる事ですので、全話まとめで改めて考察を行いたいと思います。(といいつつ、第13話 ジュピター・ジャズ(後編)で再度考察を試みてみました)
 

スペードのエースが意味する事

トランプのマークにはそれぞれの意味があったと思います。(諸説あるので下記の意味でなかった場合、完全に無意味な考察になってしまいます)

  • ハート:愛
  • ダイヤ:金
  • クラブ:智慧
  • そして、スペード:死

フェイはマオを追う際にスペードのエースを引き当ててしまいます。そしてその後、実際にフェイは命の危険にさらされるような事態におちいってしまいます。

そしてラストのシーン。フェイに枕を投げつけられたスパイクは、スペードのエースを引いてしまいます。死ぬはずだったフェイを助けたため、死のカードはフェイからスパイクに移ってしまう。そしてこれがスパイクの死を暗示しているのではないのだろうか?

 
第5話の考察は以上です。それでは以下に僕が勘違いしてしまった事を書き連ねたいと思います。

個人的にしてしまった勘違い

大いなる勘違い。しばらく見続けた時、何かがおかしい事に気づきました。勘違いをするきっかけになったポイントは四つ。

A.マオと写るアニーの写真
右側に写る謎の男性。初見時この写真を見たときに、瞬時にひらめきました。アニーの旦那がマオで、スパイクは二人の息子ではないかと。この写真の人物、髪型や髪の色は違いますが、顔が何となく似ていませんか?

B.アニー「随分人に探させていたんだよ。きっと生きてるはずだって」
この台詞を聞いたときに上記の写真の解釈が正しいのではないかと勘違いが加速。

C.ジェット「まさかお前マオの」
ここで勘違いが確信に変わります。この時のジェットの台詞回し。「まさかお前、マオの息子じゃないだろうな」とジェットの声が僕にははっきりと聞こえました。

そして、第6話の冒頭になりますが、目の手術を受けているスパイク。しかしこれを全身の手術だと勝手に解釈。そのため今と写真の姿が違うのかと妙に納得。

当然の事ながら、これ以降にそんな話は出てきません。完全な勘違いなのですが、同じように感じた人はいなかったのでしょうか?僕の周りでこの考えに共感する人は全くいませんでした。あげくの果てに馬鹿呼ばわりです。しかしそれは結末を知っているからであって、この段階ではそんな風に考えても馬鹿ではないと思うのだが……

ちなみにその馬鹿呼ばわりした友人の勘違いをさらして上げたいと思います。

X.スパイク「音痴」
スパイクはわざわざフェイを呼び寄せ、音痴と伝えます。この台詞、そんなに聞き取りづらいわけではないのですが、友人はずっと「うんち」だと思っていたらしい。スパイクは体が動かないため、トイレに連れて行って欲しいと思いフェイを呼んだ。しかしフェイは何でそこまでしなければならないのかと怒った。そういった流れだと思っていたらしいです。それでも話はつながりますが、さすがに「うんち」はないと思います。

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「カウボーイビバップ」各話の考察