2014.05.31

「にこにこ島がありまして、にこにこ仲間がいるんです。・・・ぽろりが登場します」

カウボーイビバップ 第8話ワルツ・フォー・ヴィーナス

絵コンテ・演出:武井良幸 / 脚本:横手美智子

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ハイジャックを試みた賞金首を捕まえたスパイク。その飛行機に同乗していたロコは、スパイクに格闘術を教わろうとする。しかしその途中でロコは「グレイアッシュ」をスパイクに渡し、姿を消してしまう。

第8話の主要スタッフ。絵コンテ・演出は武井良幸。脚本は横手美智子。作画監督・しんぼたくろう。メカ作画監督・後藤雅巳。

以下は核心部分を含みます

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ある人は「ばいきんまん」。また違う誰かは「フリーザ様」と答えるかもしれない。しかし僕が思い出すのは、にこにこぷん。「じゃじゃ丸、ぴっころ、ぽろり、ときどきあっちむいてぷーん」のにこにこぷんです。

初見時、ロコがどうしても「ぽろり」に思えてしまい、何というかどこかむずがゆい感じがしました。今となっては、にこにこぷんの記憶もかなり曖昧になり、その感情は思い出せないのですが。

そんな第8話、今回も特に考察する事もないので、サクッと部分解説をしていきます。

< 第8話に関して >

物語はスパイクとロコの関係を通して進んでいきます。しかし第8話の本筋はスパイクがステラの目の治療をするという話です。また賞金首が二組登場しますが、スパイクとステラの物語をつなぐロコを補足する意味合いでしかありません。

主人公

「スパイク・スピーゲル」

ストーリー

「ロコと知り合ったスパイクが、グレイアッシュを使いロコの妹を治療する」

分岐点と概略

第一幕概略 「賞金首を捕まえたスパイクが」
第二幕への転換点(5m30s) 「ロコにおそわれる」
第二幕前半概略 「ロコの身辺をさぐる」
中間点(11m50s) 「ステラと会う」
第二幕後半概略 「ステラの治療にグレイアッシュが必要だと知る」
第三幕への転換点(18m30s) 「ロコが死ぬ」
第三幕概略 「ステラの目の治療をする」

第8話を分解

カウボーイビバップ 第8話 パラダイム

1.アナウンス「金星のテラフォーミングに用いられている浮遊植物は〜」
上記アナウンスからはじまる、タイトル前の一連の流れで気になった部分を解説します。

SFでよく聞く「テラフォーミング」という言葉。何となく、星を開拓して住みやすい環境にする、といったニュアンスで把握していました。しかし何となくでは気持ちが悪いので、ウィキペディアで確認。意味は大体あっていたのですが、そこで新たな発見が。その部分を引用します。

金星のテラフォーミングでは、火星の場合とは逆に、500度にもなる気温を何らかの方法で下げる必要がある。〜略〜。そのため、以下のような方法が考えられている。
・大気圏上層部に微生物や藻類を繁殖させ、光合成により二酸化炭素濃度を下げる(同時に酸素濃度も適度な濃度に上げられる)

金星の浮遊植物というのが、根拠のある設定だという事を今回初めて知りました。

またこの機内に、篠原ともえさんのようなキャビンアテンダントがいます。第23話のブレインスクラッチでも、似た女性がACのような番組に出演しています。同一人物かどうかは不明。しかし両話とも絵コンテ・演出は武井良幸さんです。この篠原ともえさんを連想させるキャラクターというのが、ある意味時代を感じさせます。

最後にもう一点。本当にどうでもいい情報です。「金なら出す、私だけでも下ろしてくれ」と言った乗客。「騒ぐ奴はこうよ」とテロリストに殴られた時、カツラが飛んでいます。

2.フェイ「ハーイ。分け前」
フェイの取り分。賞金150万の1/3ではなく、約27%の40万がフェイの取り分です。そしてフェイが分け前をせかす理由。初見時は第3話で語られた莫大な借金という情報と合わさり、フェイの過去を示す大きな手がかりになるのかと思っていました。実際は特段の理由はなく、額面通りカジノに使ったという解釈でいいのかもしれません。

そしてその少し前、ロコがカウンターに荷物を預けるシーン。カウンター奧に、ねこぢるの猫のような、カウボーイビバップの雰囲気とは異なる猫の看板があります。ちょうど、ねこぢるさんが自殺した時期でもあり、何かそういった意味があるのではないかと、友人と話し合った記憶があります。真偽は不明。

3.スパイク「何なんだあいつは」
この時スパイクはエレベーターでタバコをくわえています。このカットだけではなく、この世界では喫煙にかなりおおらかな感じになっています。千代田区で路上喫煙禁止条例が施行されたのは2002年。作品当時の状況を考えると、まだ歩きタバコをしている人が多く、新宿のコマ劇前の広場などはまるでゴミ箱状態でした。しかしこの作品で描かれるような、喫煙者が大手を振って歩ける未来は、現実には訪れません。ただ、今の感覚で見た場合(意図していない部分で結果論ですが)このタバコの使われ方が、人物をより深い物にしているような気もします。

4.ロコ「金星はヘリウムが多いんだ」
スパイクの声が変わってしまうほどのヘリウムの量。この時スパイクはタバコをくわえています。初見時に感じたことは、ヘリウムは爆発しないのか?という事です。もしかしたら爆発するかもしれないという微妙なラインだからこそ、ここでくわえているタバコに火はついていないのかも、と邪推もしました。

とりあえず答え。ヘリウムは非可燃性のガスです。昔(この作品を見た数年後だったと思います)イベント系のバイトで、クソみたいな量の風船を膨らませていた時の事。バイト先の社員さんがタバコを吸いながら風船を膨らませていたので、引火しないんですか?と聞いた記憶があります。その時に社員さんが上記の事を教えてくれました。

5.スパイク「水みたいになるのさ」
「Empty your mind. Be formless, Shapeless, like water.」が元ネタです。「Don’t think, feel !」と同じぐらい有名なブルース・リー言葉です。第1話での「死亡遊戯」のような鍛錬シーン。そして第2話での「ドラゴンの道」のヌンチャクも出てきたので、スパイクはジークンドーの使い手といった設定なのかもしれません。前にも書きましたが、僕はブルースリーにはあまり詳しくないので、ジークンドーがどれくらい強いのかはお答えできません。

6.ジェット「盗まれたのがこいつだ。金星病の特効薬なんだが〜」
第8話のカギになるグレイアッシュ。金星病の特効薬になるという情報は、スパイクがステラに会う前に、ジェットの台詞で情報が出てきます。そして以外に重要なその補足が載っていたので、グレイアッシュの英文を訳します。

まず原文。

Angiospermae/Dicotyledoneae/Archichla mydeae/Cactales/cactaceae/coryphantha

A few red flowers, green broadleaves (first leavl) grow on dark green stalk like Cactakes.There are second leaves with red edges on the pant near the root. (we have no idea what is their part).

Alpine plant
Inhabits specific high mountain, and cannot be in thick atmosphere with Helium, especially in Venus. Seed have special virtue in Cryptofelt (Venus endemic).

CRIPTEXUOSA Fee, 4 Men. foug. 17.2941; C Chr Mar Suppt II, V. Venus Miq/Ann. Lugd Bat.

それでは訳します。

被子植物門 > 双子葉植物綱 > 古生花被植物亜綱 > サボテン目 > サボテン化 > コリファンタ属

いくつかの赤い花をつけ、緑広葉樹(一番目の葉 / leaveの誤字?)Cactakes(コリファンタ属のサボテンだと思われます。架空の植物かも?)のような濃い緑の茎に育つ。根元近くのパンツ状(根本の膨らんだ部分だと思います)の赤い縁に二番目の葉があります。(それがグレイアッシュの一部かどうかは分からない / 誤訳かも?theirが何を差しているのかがいまいち分かりませんでした)

高山植物
特定の高い山に生息し、特に金星などヘリウムが濃い大気中では生存することが出来ない。種はCryptofelt(金星病)に特別な効き目がある。

(以下はクレジット情報なので略)

ここに台詞では語られない補足情報。金星病に効くのは、グレイアッシュ本体ではなく、種だということが書いてあります。

7.スパイク「キレイな物か。そいつはきっとずっと昔になくしちまった」
なくしたキレイな物とは何か。解釈を三案出します。

もっともストレートな解釈。スパイクがレッドドラゴンの構成員であったため、普通の人が持っている感情はなくしてしまったという意味。

全体第二幕の「過去との葛藤」を踏まえた解釈。ジュリアと逃げようと思っていた時の気持ち。愛する人と自由に生きるという、純粋な未来(夢)はなくしてしまったという意味。

身も蓋もない解釈。特に意味はない、単に格好いいからこの台詞を使った。さすがにこれはないと思いますが、一応。

★.ステラ「ロコがグレイアッシュを手に入れたの。手術代もよ」
もちろんロコではなく、グレイアッシュも手術代もスパイクが出しています。それでは手術代はいくらだったのか?後述します。

8.スパイク「見えなくたって分かるだろ。良い奴だったさ。」
ステラの「ねえ、本当のロコはどんなだったの?」を受けてのスパイクの台詞。このステラとスパイクの台詞の間なのですが、もう少しスパイクに背中で語らせた方が(間を取っても)よかったのでは?と感じました。どうも間が詰まり過ぎて、やりとりが不自然に聞こえます。

しかし台詞のあいだに間をあけた場合、スパイクが取りつくろって嘘を言っていると、ステラは勘ぐってしまう可能性があります。そのため若干かぶせ気味に即答させなければいけなかったのかもしれません。考えてみれば、ステラの目はまだ見えるようになっていないため、背中で語らせるような演出は取りようがない訳です。そう考えるとこれが正解なのかもしれないです。
 

治療に払ったおおよその金額

分解6で解説をしましたが、金星病の治療に必要なのはグレイアッシュの種であるため、種を売却して金に換えたという選択肢は除外します。

まず、冒頭で捕まえたテロリスト。ルーイ、ヒューイ、デューイの三人が150万ウーロン。(ちなみに三人の名前は、ディズニーの「ヒューイ・デューイ・ルーイ」からの引用です)

フェイに分け前を渡したとき、スパイクのマネーカードの残金は1,140,380。スパイクの取り分がフェイよりも少ないということはあり得ないので、最低でも残金は440,380ということになると思います。

そしてピカロ・カルビーノの一味にかかった賞金。

ピカロ・カルビーノ 500,000
アチェベ・ラマン 100,000
バークリ・チンヴァ 100,000
カルピ・パオロ 100,000
sub:04 (100,000)
ロコ・ボナーロ 100,000
sub:06 (100,000)

 
二枚目、ロコは「sub:05」とナンバリングがあり、左右に二人見切れています。確認出来るサブの賞金額は10万であるため、見切れている二人も、各10万だと思われます。合計で110万。一味で捕まえれば倍額とあったので、もし一網打尽にした場合の賞金額は220万です。しかし実際に登場するピカロの一味はロコを含めて六人。残りの一人は今回登場しません。(手配画面にはロコの右隣に「sub」の文字が確認できます。また左右の人物は肩まで確認ができ、明らかに前の三人とは違います。そのため賞金首は七人で間違いないはずです)

そして、ここで捕まえた賞金首は五人。賞金額の合計は90万。通常通り1/3が分け前と考えれば、スパイクの取り分は30万です。冒頭で登場したスパイクのマネーカードの残りが40〜55万(ジェットの取り分を引いて)。そこから考えられるスパイクが出した治療費は70〜80万となります。しかし何ともキリが悪い金額。そこでもう一案。

ピカロ一味の賞金の取り分をフェイが取らないという事は性格上考えられません。しかしジェットが分け前を放棄する可能性は残ります。スパイクの性格から考えれば、ジェットにステラの事を話すというのは考えにくいです。しかし、理由をはぐらかしてジェットに分け前をゆずってもらう(前借りする)可能性はあります。実際にジェットもロコの死を見ているため、その辺は察してくれる可能性が高いです。

今回フェイもかなり動いていたので(役に立ってはいませんが)1/3を取り分とすれば残りは60万。全く根拠のない考えですが、冒頭の残金と合わせて100万ウーロンがステラの治療費だったのではないでしょうか。

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参照・引用(外部リンク)

Wikipedia - テラホーミング http://ja.wikipedia.org/wiki/テラフォーミング
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「カウボーイビバップ」各話の考察