2014.12.05

「SFで時々思ってしまう疑問、火星に移住するとカレンダーはどうなるのか?」

カウボーイビバップ 第11話闇夜のヘヴィ・ロック

絵コンテ・演出:森邦宏 / 脚本:横手美智子

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ビバップ号の船内で謎の宇宙生物に刺されるジェット。他のメンバーは深刻に受け止めなかったが、フェイとアインも続けてやられてしまう。スパイクは謎の宇宙生物を見つけるために、船内の探索を始めるのだが。

第11話の主要スタッフ。絵コンテ・演出は森邦宏。脚本は横手美智子。作画監督・しんぼたくろう。メカ作画監督・後藤雅巳。

以下は核心部分を含みます

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出だしから話はそれますが、どうしても伝えたい事があるので手短に書きます。一人暮らしをしていて、今までにありとあらゆる食材を腐らせた経験があります。しかし、なぜか食パンだけは腐らせた事がありません。食パンを保存する時に、バッグクロージャー(袋を止めるプラスティックのやつ)を付けずに、袋を開いたままにしておくと、パンにカビが生えないのです。水分が抜けて、乾パンのようにパサパサになりますが、賞味期限が切れても長い事持ちます。そしてこのパサパサのパン、トースターで焼くと以外に美味しいんです。暇な人は試してみて下さい。

話を戻しますが、今回は食パンではなく冷蔵庫の話です。さすがに菌が繁殖した事はありませんが、謎の茶色い液体には何度か遭遇しました。やはり食材を入れっぱなしにしないという事ですかね。後、肉は即冷凍しておいた方がいいです。

< 第11話に関して >

今回の主人公はスパイクです。

ストーリは単純に「スパイクが謎の宇宙生物を倒す」と考えましたが、全体の構成から考えると、若干のズレが起こります。なぜならば、スパイクが倒すべき本当の敵は謎の生物ではなく、その発生源である冷蔵庫だからです。あまり大きな違いがある訳ではありませんが、この第11話は、スパイクが謎の生物の発生源を突き止め、それを処理するという事が軸になっています。

そしてこの11話は、いわゆるB班担当の作品だと思われます。予想でしかありませんが、11話・12話・13話の制作進行を平行して行わなければいけないため、この後に控えているメインストーリー部分の12話と13話に、予算とスタッフを集中させ、二班に分けたのではないでしょうか。そのため11話は、ビバップ号船内でのストーリー、ゲスト登場人物なし、そして音楽もなし、といった形になっているのだと思われます。こういった場合、総集編の様な作りになりがちですが、二班に分けても作品のクオリティーが落ちない、という所がこの作品のスタッフの層の厚さを物語っていると思います。ただこの11話、評価する人は多いのですが、個人的には二・三回見ると飽きるかな……といった感想です。

主人公

「スパイク・スピーゲル」

ストーリー

「ビバップ号に謎の生物が発生し、スパイクが原因の冷蔵庫を捨てる」

分岐点と概略

第一幕概略 「仕事がないビバップ号のメンバー」
第二幕への転換点(6m00s) 「ジェットが謎の生物にかまれる」
第二幕前半概略 「ジェットの治療を試みる」
中間点(12m00s) 「フェイも謎の生物にかまれる」
第二幕後半概略 「スパイクが謎の生物と戦う」
第三幕への転換点(18m30s) 「冷蔵庫の秘密を思い出す」
第三幕概略 「冷蔵庫を捨てる」

第11話を分解

カウボーイビバップ 第11話 パラダイム

★a.ジェット「宇宙航海日誌0968〜」
冒頭の何気ない台詞。この0968が何を表しているのか?これが日誌である以上、一日に1カウントずつ重ねていった物だと思われます。そのため、ジェットが賞金稼ぎを始めたのは、今から968日前・つまり三年前ではないかと推測をしました。

しかし第10話でジェットがISSPを辞めたのが七、八年前という情報(第16話で正確には七年前と分かります)を完全に忘れていました。そう考えた時、この0968をジェットが賞金稼ぎを始めた日付にこじつけるのは、多少無理があると思います。それでは何を意味しているのか?第12話でスパイクとジェットが出会ったのが三年前とありますので、スパイクと共に賞金稼ぎを始めてからの日付とも考えました。しかし、ジェットの几帳面な性格から考えると、その可能性も低いと思います。

もしかすると、元々この部分に意味はなかったのかもしれません。非常に悔しい限りですが手がかりがない以上、今回はそう結論づけるしかないです。

ただ上記推測の流れで新たな疑問。それは人類が火星に移住した場合、一年が何日で計算されるようになるのか、という事です。この点に関しては後述いたします。

1.フェイ「ピンゾロの丁」
丁と半。子供の頃、半分になる偶数が丁で、半分にならない奇数が半というのがどうも納得がいきませんでした。しかし大人になって考えた時、半分になるから偶数が丁で、半分にならないから奇数が半という事でどこか納得がいきました。何を言ってるか分からないと思うので、箇条書きにしてみます。

子供の頃に思っていた間違い
出たサイコロの目の和が半分になるか基準で考えていました。
偶数 → まだ半分に出来るから「半?」
奇数 → もう半分に出来ないから「丁?」

正しい考え方
出たサイコロの目の和自体がどういう状態か、ということです。
奇数 → 半分になった状態だから「半」
偶数 → 半分ではない状態なので「丁」

なんかこんがらがってきますが、こういう考え違いをしていました。ちなみに「丁」という漢字は「安定している」といった意味があります。「丁度」か「半分」かです。しかしなぜ偶数の目が丁度なのかは、イマイチ分かりません。

またサイコロの目が(1・1)の場合、ピンゾロと呼びます。「ゾロ」はゾロ目(そろい目 = ぞろめ)ですが、問題は1を表す「ピン」。これも長いこと勘違いしていたのですが、麻雀のピンズのピン(コイン)だと思っていました。実際はポルトガル語のPinta(点)から来ているそうです。

2.マネーカードを確認するフェイ
ジェットから巻き上げた金をマネーカードに入れています。この時に表示される合計金額は、6947ウーロンと大した金額ではありません。

そしてこの後、フェイは教訓として「他人を信じてろくな事がない」と言います。この後の12話でも登場する台詞ですが、この元になった体験というのが第15話(マイ・ファニー・ヴァレンタイン)で語られるような事だけであれば、若干設定が弱いような感じもします。これに関しては、ここでの言及は避け、先送りにしたいと思います。

そして更にこの後、謎の宇宙生物が迫り来る音と、スパイクの歯磨きの音を合わせて、緊張感を高める演出をしています。

3.スパイク「効かないのは近視と虫歯だけだ」
そう言ってスパイクがジェットに勧めた物、タイガーバームです。子供の頃、かなり珍しい物だったとの記憶があり、父親が香港出張で買ってきたのを覚えています。しかしその頃は、タイガーバームではなく「萬金丹」と言っていたような気がするのですが、ネットで検索をしても、この薬が出てこないのです。Wikipediaを見ると中国では「萬金油」という名称らしいです。ただ幼いころの記憶では、絶対に萬金丹だったと思うのですが……

4.スパイク「クリプトスポリジウム」
「コレラ」「エボラ」「ビフィズス」などに先立ち、上記の菌との照合を試すスパイク。あまり聞き慣れないウィルスなので、簡単に解説しておきます。

クリプトスポリジウムは、いわゆる食中毒を引き起こす病原菌です。ネズミなどが宿主になるので、スパイクが疑ったのも分かりますが、記憶では口からの感染だったと思います。僕も専門家ではないので、詳しく知りたい方は保健所等に問い合わせた方が良いと思います。

また塩基配列ですが、DNAにあるタンパク質を作る設計図みたいな物(だったはず)です。高校生の時に授業でやった記憶があるようなないような……

★b.エド「8月6日天曜日〜」
通常の七曜にない「テン」曜日。この部分からも、火星では地球とは暦が違うと推測されます。この点に関しても後述いたします。

5.スパイク「仕方ねー。やるか」
この時にスパイクが背負っているバック。後ろからのアングルで、ISSPの文字が確認出来ます。このあたりの備品は、ジェットがISSPをやめる際に拝借してきたものかもしれません。そして、ISSPから備品を持ちだしているという事は、ISSPを辞めてから賞金稼ぎを始めるまでの期間は、ほとんど開いていないと思われます。

6.エドが謎の宇宙生物を食べる
この謎の宇宙生物は何だったのか?確実に特定できるカットや台詞はないのですが、ロブスターの突然変異という事で間違いないと思います。根拠としては(状況証拠的な事になってしましますが)、ジェットが冷蔵庫の前でかまれたという事、そしてスパイクが焼けた宇宙生物を見て(臭いで?)冷蔵庫のロブスターを思い出したという事です。

とりあえず解釈としては、保管していたロブスターが、冷蔵庫の中で菌を繁殖させ突然変異を起こした。そしてその冷蔵庫から、突然変異したロブスターが出てきた、という流れではないでしょうか。モチモチしているのは、殻を突き破って中身だけ出てきたためだと思われます。ただもしかすると、ロブスターが産んだ何か、という可能性もあるかもしれません。

7.宇宙空間に飛び出す冷蔵庫
劇中で挿入される唯一のこの曲は「Waltz of the Flowers」、くるみ割り人形の「花のワルツ」です。くるみ割り人形では、お城で開かれる歓迎のダンスパーティーのシーンで使われている曲です。この選曲は何かの暗喩ではないと思われますが、この曲が流れている時、ビバップ号のメンバーは動いていないにも関わらず、踊っているような演出がされています。
 

火星移住後の1年の長さは?

SF物の作品を見ていると、時々感じる疑問です。火星など他の惑星に移住した場合、一年の長さはどのようになるのか?地球基準(グレゴリオ暦)なのか?それとも火星基準(ダリアン暦)になるのか?

グレゴリオ暦で計算した場合、地球の1年は24時間が365日、火星の1年は地球時間換算で687日です。そしてダリアン暦の場合、火星の一日は24時間40分(これが1火星日)であるため、1火星年は668火星日となります。しかし火星年が基準であれば、登場人物の年齢など様々な設定が、かなりおかしげな事になってしまいます。

火星の自転軸が傾いていなければ、365火星日で1年となるのでしょうが、火星も自転軸を傾けたまま公転していますので四季が存在します。そして人々がコロニーではなく地表で生活しているため、1年が365火星日換算の場合、毎年季節がずれていく事になります。

そこで考えられるのは、668火星日に年越しが二回あるという可能性です。グレゴリオ暦より1年が若干短くなってしましますが、地球時間に直せば343日(火星上では334火星日)となりますので、ダリアン歴をそのまま採用するよりは、一年の誤差は少なくなるかと思います。

そして次にエドが言っていた「天曜日」。天王星から取った新しい曜日であると思われますが、一週間はどのようになっているのでしょうか?

もともと一週間とは恒星月(月が地球を一回りする期間)27.23日を四等分した物です。そう考えた時、衛星であるフォボスとダイモスが基準になったとも考えたのですが、とても基準になるようなデータは見当たりませんでいた。そこでここからは完全な空想ですが、月ゲート建設の際、4 x 7で出すよりも、9 x 3で出したほうがより誤差が少ないため、一週間を七曜から九曜に変更したのではないでしょうか。またこれから宇宙の時代という意味でも、太陽と太陽系全惑星の名前をつける事が出来る九曜に変更したとも考えられます。もちろん全く根拠はありません。

ただ実際には、設定として深く考えられてはいないと思います。「天曜日」などSFっぽいからという理由で、つけただけではないでしょうか。

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参照・引用(外部リンク)

Wikipedia - タイガーバームhttp://ja.wikipedia.org/wiki/タイガーバーム
Wikipedia - Darian calendarhttp://en.wikipedia.org/wiki/Darian_calendar
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「カウボーイビバップ」各話の考察