「可もなく不可もなく、ファミリーアニメに大変身だ!」
カウボーイビバップ 第2話野良犬のストラット
絵コンテ:渡辺信一郎 / 演出:佐藤育郎 / 脚本:横手美智子
800万ウーロンの賞金首・ハキムを追うスパイクとジェット。そのハキムが盗み出した一匹の犬。そこに動物研究所の男達も加わり、三者が絡み合う大騒動への発展する。
第2話の主要スタッフ。絵コンテ・渡辺信一郎、演出・佐藤育郎。脚本は横手美智子。作画監督は竹内浩志。
以下は核心部分を含みます
ブルース・リーが32歳でこの世を去ったのは1973年。僕が生まれるだいぶ前です。遺作となった「燃えよドラゴン」もその直後ですので、リアルタイムでのブルース・リーは知りません。世代で言えば、ブルース・リーよりジャッキー・チェン世代です。子供の頃はどのチャンネルをつけても、頻繁にジャッキー・チェンの映画をやっていました。そんなジャッキー・チェンにまつわる中学生時代のエピソード。
確か中学3年の夏休み。部活の連中とお泊まり会をした時の出来事。夕食後だったと思います。友達が「面白いジャッキー・チェンの映画を持ってきたぜ」とか言い出して、カバンからVHSテープを取り出します。この当時VHSの映画ソフトは値段も高く、持っている人はほとんどいませんでした。皆「すげー」とか言いつつ、それじゃあ映画を見ようよと、飲み物やお菓子などを準備しました。そして、リビングに行き皆で鑑賞会を始めます。
しかし再生した時、目に飛び込んできた衝撃的な場面。なんとジャッキーが日本語を話していないのです。違和感を覚えつつも、みんな我慢して見続けました。そして1時間ぐらい経った時でしょうか。突然、友人の一人が立ち上がり「これはジャッキー・チェンじゃない、バッタ物だ!」とか怒鳴りだしたのです。VHSを持ってきた奴も「本物だ!」と怒りだし、その後は映画さながら殴り合いのケンカです。周りが二人を必死になだめ、皆で「これは偽物のジャッキーが出ているバッタ物だ」という結論を出し「それでも面白いならいいじゃないか」と、両方を立ててその場を収めたのを覚えています。ちなみにこの時に見た映画のタイトルは「プロジェクトA」です。
今回は、びっくりするぐらい内容の薄いレビューになっております。
< 第2話に関して >
主人公は引き続きスパイクです。そして今回がアインの初登場となります。しかしアインの名前が出てくるのは次回の第3話中盤、ジェットの呼びかけが初出になります。そして今後、准レギュラー的な扱いになるビッグショットもこの回から登場。
またストーリーとは全く関係ありませんが、なぜか第2話は21分しかありません。これが初放送時の第1話であったことを考えると、放送上の理由ではないでしょうか。ただ真相は分かりません。なぜならば関係者に聞く以外、確認のしようがないからです。
主人公
「スパイク・スピーゲル」
ストーリー
「賞金首のハキムを狙うスパイクが、賞金の変わりに犬を持ってくる」
分岐点と概略
第一幕概略 | 「賞金首のハキムを狙うスパイクが」 |
---|---|
第二幕への転換点(7m00s) | 「ビバップ号から出発する」 |
第二幕前半概略 | 「ハキムを探す」 |
中間点(12m00s) | 「ハキムに逃げられる」 |
第二幕後半概略 | 「再びハキムを探す」 |
第三幕への転換点(18m20s) | 「犬が陸橋から落ちる」 |
第三幕概略 | 「犬を助けたため、賞金首のハキムを逃してしまう」 |
第2話を分解
1.スパイク「ドクター。情報か?」
ハキムの情報を教えてくれたドクター。ハキムに料金を踏み倒されたと言っていたが、何の料金だったのか?解説するまでもないですが、その後「整形後の写真だ」との台詞があるため、ハキムはこのドクターの元で整形をしたということです。ちなみにこのドクター、第25話でも登場します。
★.貨幣価値の簡単な考察 / 3m40s (後述・クリックで移動)
このシーンで情報料として支払われる「280」から生じる疑問。後述します。
2.ハキム「俺のおごりだ。飲め」
第2話で好きな所が三つあります。一つ目はここ。ゴキブリ入りの老酒を飲ませる所です。ハキムは整形で見た目がいかつくなっていますが、連続ペット窃盗犯という結構ゆるい賞金首です。そう考えると本当に驚きの800万です。
3.スパイク「鎖が長いな」
ヌンチャク。Way of the Dragon モデル。ブルース・リーの出世作とも言える「ドラゴンへの道」に出てくるヌンチャクだと思います。思います、と書いたのは「ドラゴンへの道」は見た事がないからです。正直最初は何のこと言ってるのか分かりませんでした。
4.ハキム「賞金稼ぎか?動物愛護マフィアか?」
第2話で好きな所、二つ目。「動物愛護マフィア」という単語。連続ペット窃盗犯ならではの台詞ですかね。
5.スパイク「この駄犬のせいだ」
たぶんですが、台本上ではこの台詞の後に、スパイクが指をかまれて叫ぶとなっていたはず。しかしここでは、駄犬のせい「だ」で叫ぶ。山寺宏一さんの演技だったのか。こういう演出だったのか。良く出来ています。
6.ジェット「〜ばーちゃんに教わらなかったか」
第2話で好きな所、三つ目。スパイク「俺が生まれる前に死んでたよ」ジェット「あーそりゃ失敬」と続く二人のやりとり。スパイクは第1話の「火星生まれ」という台詞とこの台詞以外、幼少期を語ることはありません。
7.ハキム「出世払いだ」
当然ハキムは急いでいるため、お金を払っている暇はありません。しかし無視すればいいだけなのに、なぜ「出世払いだ」と言ったのか?ハキムはいつも金がなく、こういった台詞が染みついているのではないでしょうか(ハキムの人物設定から考えられている台詞かもしれません)。もしかするとドクターの支払いを踏み倒した際も、このような台詞を吐いていたのかもしれません。
ちなみにこの少し前、ペットショップから逃げ出した犬たちが、前半の追いかけっこの際に車の衝突でへこんだガードレールの前を通っています。
8.スパイク「くそ!だから獣は嫌いなんだよ!」
スパイクはハキムを捕まえることより、アインを助けることを優先します。何気ない部分ですが動物愛護的にもよいのではないでしょうか。不思議な事ですが、ストーリー上で人が死ぬ事よりも、動物を虐待するようなシーンに嫌悪感を覚える人が多というのも事実です。
1ウーロンは1円?
ウーロンの価値はいったいいくらなのか?これはたぶんとしか言いようがないが、ウーロンを日本円で考えた場合の価値を、この段階で考えてなかったのではないか?
まず、このドクターに対する情報料。第17話でスイカが1000ウーロンに対して、このシーンで情報の対価として支払われるのは、280ウーロンである。ましてや300を値切って280にしているので、1ウーロン=1円の設定がすでにあったのならば、20値切ることに意味はあるのかと思ってしまう。そう考えると、このシーンでは1ウーロン=1ドルと意識していたはず。
そしてこの後、800万ウーロンで「オーバーホールしてもおつりが出る」とスパイクは言います。もし1ウーロン=1ドルで考えた場合は約8億円です。とてもおつりで北京ダックが食えるという発想が出てくる金額ではないと思います。やはり賞金の場合は1ウーロン=1円という解釈がしっくりきます。
後々の話から考えるに、1ウーロン=1円というは間違いないが、第2話では1ウーロン=1ドルと、1ウーロン=1円という貨幣価値が混在してしまっている様な気がします。
<追記>
基本的な部分なのに本当に決めていなかったのか?と引っかかっていた部分。やはり1ウーロン=1円という設定はすでに決まっていたと思います。
誤解する原因となったドクターとのやり取りですが、「280」とは280ウーロンではなく、280万ウーロンという意味のはずです。なぜか見直した時にこの数字がすんなりと頭に入ってきました。情報料としては高いような気もしますが、この解釈で間違いないと思います。
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「カウボーイビバップ」各話の考察
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