2013.05.24

「前向きな主人公に山盛り詰め込まれた展開。この回は以外とスピード感がある」

四畳半神話大系 第3話サイクリング同好会 ソレイユ

絵コンテ・演出:牧原亮太郎 / 脚本:上田誠・湯浅政明

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薔薇色のキャンパスライフを夢見る、大学三回生の『私』。入学時にサイクリング同好会に入るが、同好会とは名ばかりのガチンコ体育会系サークルであった。貧弱な『私』は高スペックの自転車を購入しレースに励むもうとするが、直前に自転車にこやか整理軍に自転車を撤去されてしまう。

第3話の主要スタッフ。絵コンテ・演出は牧原亮太郎。脚本は上田誠・湯浅政明。作画監督は牧原亮太郎・浅野直之。

以下は核心部分を含みます

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仮のヒロインである明石さんとのからみで話が展開していく第3話。全話を通してこの回のみ『私』が日の当たるまっとうな青春を送っている。結果的には同じように不毛な結果になってしまうのだが。

第3話のサークル名「ソレイユ」はフランス語で『太陽』の意。「シルク・ドゥ・ソレイユ(太陽のサーカス)」の「ソレイユ」です。『私』に訪れる結末が、太陽を目指したイカロスに例えられているため、このサークル名になっているのだろう。

< 第3話に関して >

主人公はもちろん『私』である。この回では『私』を中心に、明石さんがどういった大学生活を送っているかという設定が紹介される。そして、この第3話はとにかく出来事が山盛り詰め込まれている。めまぐるしい展開で、主人公の感情が上手に動き、20分の短編としても非常に良く出来ている。

分岐点と概略

第一幕概略 「サイクリング同好会に入った私が、」
第二幕への転換点(5m45s) 「自転車雑誌で情報を知る」
第二幕前半概略 「しまなみ杯に挑むが敗北」
中間点(12m20s) 「飛行機に乗ってくれと頼まれる」
第二幕後半概略 「トレーニングをする」
第三幕への転換点(17m15s) 「余計な事をしたと怒られる」
第三幕概略 「池に落ちて後悔する」

第3話を分解

四畳半神話大系 第3話 パラダイム

1.女性「すいません。開いてるから、持ってきて」
冒頭。謎の女性の台詞。最初に見たときは、何が起こったのかは3話の最後まで見ても分からず。実際は印刷所のバイトなのだが、初見時は『私』が間男なのかと思ってしまった。

2.NA/私「やつらは自転車にこやか整理軍といい、」
自転車にこやか整理軍の登場。冒頭で『私』が色々と整理軍に対して説明をしているシーン。ベージュのコートにベレー帽の「この男に注意」と張り紙がインサートカットで入る。コートの男の以外はモノクロになっており、ゆっくりとコートの男にズームインしていく。ここでこの男が今回のキーパーソンであることが暗示されている。

3.NA/私「〜私は最新の注意を払った」
新しい自転車を手に入れ、整理軍にたいして最新の注意を払っている『私』の描写。部屋に自転車を入れるのは分かるが、講義にまで自転車を持ち込むやつなんているのか?こういった細かいカットで色々ネタを入れ込んでることに感心した。そして下鴨幽水荘前で『私』を監視するコートの男。初回鑑賞時はそれほど意識しなかったが、このシーンで張り込みをしているコートの男が2カット写っている。

些細なところだが、使わなくなった『まなみ号』に自転車撤去警告の紙が巻き付けてある。こういう何気ない所にリアリティを感じてしまったりもする。そういえば僕も新しい自転車を買ったとき、駐輪所に置きっぱなしにしていた古い自転車に、警告の紙(色は黄色ではなく青だった)がついていた事を思い出した。ちなみにその自転車は、2ヶ月後に永福町の自転車集積所に送られ、7,000円で売りに出されていた。区営の駐輪所だけあって、北の国に流れたりはしないらしい。

4.スタッフA「え?まだいたの」スタッフB「にぎやかしはいらないんだよね」
しまなみ杯のレース途中、私「すいません」と声をかけたとき、奧にいる二人の台詞。最初に見たときは誰か分からず。ただよく見てみると、Tシャツに『STAFF』と書いてあるので、しまなみ杯のスタッフだという事が分かる。しかし、エンドクレジットではそれらしいキャストが見当たらないのです。

5.アナウンサー「見事に優勝したのは京都府の樋口さん」
かなり以外なのだが、ここで初めて樋口師匠の名前が明らかになる。そしてその時に樋口師匠が使ったのは、盗まれた『私』の自転車。第2話で小津が樋口師匠の弟子であることは明かされているので、3話を最後まで見れば、小津が暗躍していたのが分かる。そしてここで手に入れた賞金も元に、樋口師匠は世界一周の旅に出る、と第4話につながる。

6.明石「うん」
バードマンクラブの部長がひどい台詞を吐き『私』を勧誘する。その時に言う二回目の明石さんのうなずき。この確信に満ちた感じがよい。そしてパーカーを着た明石さんが非常にかわいい。またこのパーカーの色使いも、明石さんに合っていて非常にかわいい。

7.明石「では私はこれで」
もちぐまんがらみの『私』と明石さんの回想シーン。1話・2話と違い、明石さんが「約束ですよ」と言わなくなる。つまり回収されるべき、明石さんとの約束は『猫ラーメンに連れて行く』と『運命に結ばれた二人のラブロマンスの実現』の二つに確定する。

8.城ヶ崎「私について来れるかな」
城ヶ崎先輩の家。この家は何なのか?ドアを開けた瞬間に壁一面のおっぱい。前回も書いたが、見た感じは一軒家なのだが、借家なのか持ち家なのか?

9.部長「君、なんてことしてくれたんだ!」
部長、二回目の登場シーン。CVは本多力さんなのですが、理系の気持ち悪さ(ステレオタイプではあるが)が非常に良く出ている。しかも素人くさい感じを出しながらも、やたら台詞回しが上手い。間の取り方も本当に上手い。味のある役者さんってこういう人の事を言うんでしょうね。ちなみにこの時うつむいている明石さんが、やっぱりかわいい。

10.私「それじゃあ私の自転車を、」
自転車整理軍のコートの男の正体が小津だと分かるシーン。上記の『私』の台詞の返答として、小津「一つ一つは関知してません」と言うが、実際は張り込みをしているカットが前半にあるため、これが嘘であることが分かる。

この手前の蹴上インクラインでのシーン。私「妖怪なすかぼちゃとして名をはせようか」と言うが、この『妖怪なすかぼちゃ』が結構つぼにはまった。

★.おきにいり / 20m45s (後述・クリックで移動)
基本的には、あまり結末部分をお気に入りの場面に選びたくはなかったが、今回はここ。

明石「自由飛行部門ですからー!」

この状況でこの台詞というのが、3話のスピード感のある展開を象徴している。全話を通して唯一、前向きに努力をして青春を送っている話なのに、あまりにも不毛な結末。明石さんと『私』のかけ合いも勢いがあって楽しい。強いて言えば、このシーンでの明石さんもパーカーを着ていて欲しかった。

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「四畳半神話大系」各話の考察