2014.03.19

「引きこもって人と話をしていないと、本当に声が出なくなってしまうんですよ」

四畳半神話大系 第10話四畳半主義者

絵コンテ・演出:CHOI EUNYOUNG / 脚本:上田誠・湯浅政明

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薔薇色のキャンパスライフなど夢幻であると思い、四畳半の中に全てを見出そうとする『私』。そうして「四畳半主義者」として過ごしていたある日、ドアを開けても窓を開けても『私』の部屋が続いている。『私』は四畳半の中に閉じ込められてしまったのだ。

第10話の主要スタッフ。絵コンテ・演出はCHOI EUNYOUNG。脚本は上田誠・湯浅政明。作画監督は伊東伸高・石浜真史。

以下は核心部分を含みます

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今回のレビューをまとめている時にふと思い出しました。どうでもいい話なのですが、僕が上京したての時に1年だけ住んだのが、東中野にある8畳のワンルームマンション。フローリングだったので、畳が敷き詰められている訳ではないのですが、非常に変な間取りでした。横幅が1.5mしかなく、奥行きがベランダを含めると10mもある細長い部屋。

この時の僕は田舎から出たばかりで、友達も出来ず、何もないとすぐ部屋に引きこもっていました。引きこもってばかりだったので、この時のエピソードは何もないです。そして上京してから1年後。高校時代の友人が、浪人生活を終え上京してきました。今でもはっきりと覚えているのですが、久しぶりにご飯でも食べようと、新宿ぺぺ前のマクドナルドで落ち合うことにしました。

「久しぶり」と僕は声を発すると、その声がガラガラに枯れているのです。正確に言うと、「ひさ」までは普通に声が出ているのですが、「しぶり」あたりでもう声が枯れてしまっているのです。その後、飯を食べながら、たわいもない話をしているのですが、声を出すたびに苦しいこと苦しいこと。この経験から思うことは、長いこと人と話していないと、ろれつが回らなくなるのではなく、すぐ声がかれてしまうということでした。そして、そのまま無理をしてしゃべり続けると、声がかすれてきて、喋ることが出来なくなってしまいます。

以上。

ちなみに今回、疑問に思ったところを何個が書き出していますが、あら探しをしているわけではありません。

< 第10話に関して >

『私』しか登場しないため、主人公は『私』です。今回、いままでに登場した様々な『私』の物語が1本につながります。そして繰り返し見せられていた状況がなんであるのかが明かされます。また、ストーリー展開だけではなく、主人公の感情の変化を定跡通りに、勢いを失うことなく、しっかりと丁寧に描いてあります。

分岐点と概略

第一幕概略 「薔薇色のキャンパスライフは夢幻と思った私は」
第二幕への転換点(5m45s) 「四畳半世界の中に閉じ込められてしまう」
第二幕前半概略 「四畳半世界でサバイバルを始める」
中間点(11m00s) 「食料が無限に手に入ることを知る」
第二幕後半概略 「四畳半世界を楽しみ抜こうと思う」
第三幕への転換点(17m00s) 「平行世界を移動していることに気付く」
第三幕概略 「孤独に耐えられなくなる」

第10話を分解

四畳半神話大系 第10話 パラダイム

1.私「武田信玄の便所のように広くて〜」
武田信玄の便所は6畳です。ようするに、2畳だと狭いが、6畳だと広いというのを、回りくどく言っているだけです。

2.私が四畳半の出入口を開けると、また私の四畳半が現れる
ここのカット割りだが、(1) 部屋を出ようとする私 → (2) ドアを開ける私のアップ → (3) ドアを空けると再び四畳半の部屋、となっています。(1)から(2)に移るときに、イマジナリーラインをまたぐ。無限に続く四畳半世界に閉じ込められていることを印象づけるために使われているので、おかしくはない。そして閉じ込められている事が分かれば (2)から(3)は何の問題もない普通のカットつなぎである。しかし初回鑑賞時、(1)から(2)と、(2)から(3)、2回イマジナリーラインをまたいでいる様に思え、いったい何が起きているのかが理解できなかった。混乱させるという意味では上手く使われていると思う(勝手に混乱しただけですが)。ただ、ラインを意識せず、雑に作られている作品も多いので、最初はこれもそのたぐいかと思ったのです。

3.廊下に置かれてあるカステラ
代理戦争がらみで登場した、ゴキブリキューブ。そのおわびで小津はカステラを持ってくる。毎回カステラを置いていくが、なぜカステラなのか、ヒントらしき物は出てこなかった。第6話でも、羽貫さんが「カステラやるから添い寝して」と言っている事から、樋口師匠が何かあったときに、カステラを配っているのかもしれない。

ちなみに、このカステラとセットで登場する、魚肉ハンバーグ。初登場は以外と遅く第8話。

4.私「楽しい。楽しい。楽しい。」
腕立てやスクワットをしながら上記の台詞。そして問題はその後のカット。第10話で唯一理解できなかった所。棒に干したり、棒で裏返したりしている、白くて薄い物体は何?食べ物の様な気もするが……その後にラテアートが出てくるので、クリープ系(もしくは牛乳)があるはず。もしかしてクリープをプレートで薄くのばした物とか?

5.NA/私「考えただけでわくわくする」
鮮やかに彩られた妄想がひとしきり終わったとき、『私』は一粒の涙を流す。また第11話で、灰色の四畳半世界で涙を流すシーンがある。つまりこの時の『私』は、まだ心に余裕があったのだろう。そして、この涙の意味合いは「なぜこんな選択をしてしまったのだろう」という感じだと思います。

またこの後に続く、私「臭くてたまらなくなった」との台詞。廊下に抜けると便所があるという建物構造なので、部屋で用を足していたのか。直接的な表現はないが、かなりショッキングな内容である。

6.NA/私「それぞれの四畳半に千円あるとすると〜」
各部屋から次々と千円札を回収していく。どの部屋に行っても千円札があるということは、この財布はサークルを選択する前(入学早々)になくしたものか。また、若干疑問に思うのは、お札の通し番号はどうなっているのであろうか?もしかして全て同じということはないと思うが……

別の考えとして、小津のカステラやもちぐまんストラップのように、理由も時期も異なる状況で、財布をなくしているという可能性もある。ただその場合は、同じ通し番号のお札が2枚存在することになってしまう。

7.NA/私「〜ことさら自堕落な生活におちいってしまたパターン〜」
今の今まで気づきませんでした。第4話で登場した『私』が、京都サンガの旗を持って大通りを走るカットがあります。第4話では、樋口師匠の命令で、大通りを走っていると思っていた。しかしここで、窓に京都サンガの旗(カーテン?)をかけてまでいるのだから、樋口師匠に弟子入りした『私』自身が、京都サンガの熱狂的ファンになったのかもしれない。

この後の、樋口師匠に弟子入りした『私』が10万円を見つけるカット。閉じ込められた灰色の四畳半世界と対比させるように、かなり彩度が上げてあり(他の各部屋よりも)、よりインパクトをあたえようとしている事が分かる。

8.カステラをむさぼる私
第1話で、小津「大きなカステラを一人で食べるというのは孤独の極地」という台詞の通りになってしまいます。このむさぼりつく『私』の姿が印象的なので、第2話で登場した、食い散らかされたカステラにすぐ結びつく。しかし、第2話で登場したカステラは、ある程度キレイに切り取られ、脇に3枚の皿。たぶんこのシーン以前、まだ心に余裕があった時に、写真切り抜きで遊ぶシーンと同じように、くだらないパーティーごっこでもしながらが食べた物であろう。(単純に第10話でどのような作画になるか分からず、先に第2話を作ったため違っているだけかもしれない)

9.NA/私「どの部屋の住人もいかにも楽しげに見える」
短いカットで、平行世界の『私』が紹介される。第2話 みそぎ → 第3話 ソレイユ → 第9話 福猫飯店 → 第1話 キューピット → 第5話 ほんわか → 第7話 ヒーローショー → 第6話 ジョイングリッシュ → 第8話 SEA、となっている。ここから分かるどうでも良い情報。第1話の『私』は部屋に大量の花火を隠し持っている事(申し訳程度に窓付近にテニスラケットがある)。そして、第8話の私は、もちぐまんの着ぐるみを部屋に保管している事の2点。

また、香織さんの着替え等が置いてある『私』の部屋、香織さんの話である第7話と勘違いしそうだが、これは第6話の『私』と判断。理由は、壁にかかった「Love」のペアTシャツ。実は第6話には登場するものの、第7話には登場していない。同じく、もちぐまんの着ぐるみがある部屋も、着ぐるみがストーリー上で使われたのは第8話のため、ヒーローショーではなく、SEAと判断。そして手紙が散らかっている部屋を、第7話と判断した理由は、第7話が残ったからです、理由は分かりません!

★.おきにいり / 20m35s (後述・クリックで移動)
第5話のラストにつながるこのシーン。その時のレビューでも書いたのですが、ここの『私』はリックを背負っていない。無理矢理解釈をすれば、第5話で遭遇した『私』と今回の『私』は別人。しかし、全体の構成(作り手側の意図)から考えれば、その可能性は0に等しい。想像するに、最初の段階で、各話の『私』のキャラデザが出来上がっていて、その時の『私』がリックを背負っていた。それに基づいて、第5話、窓外の『私』を作画しただけであろうと思う。

私「おい、おまえ!助けてくれ!」

ろれつが回っておりません。冒頭で述べた通りであります。長い間、人としゃべっていないと、言葉でコミュニケーションがとれなくなってしまいます。しかしこれは退化ではなく、必要のない機能を捨て、新し人間への進化という事なのかもしれないです。

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「四畳半神話大系」各話の考察